実務者研修とは、介護の基本的な知識と技術を修得する介護職員初任者研修(初任者研修)の内容を十分に理解し、より実務に則した幅広い知識と技術を身に付ける研修です。
実務者研修のカリキュラムは初任者研修と比較すると、講義や演習の時間は3倍以上の450時間で構成されています。
カリキュラム内容は事例をもとに介護計画を立て、実際に介護の実技を行う「介護過程III」や、たん吸引や経管栄養などについて学ぶ「医療的ケア」などの内容が盛り込まれ、初任者研修の上位資格として位置付けられています。
介護のプロとして進むためには、とても重要な研修なのです。
研修は450時間と長時間ですが、数年かけて少しずつ修了に導けばよいことになっていますし、通信教育の積極的な活用も認められています。さらには、介護職員初任者研修を受講していれば、その分の130時間の研修は「読み替え」という形で免除されます。
平成28年度の「介護福祉士国家試験」から受験資格として、実務経験3年以上に加え『実務者研修』の修了が必須となりました。
介護福祉士資格はキャリアアップのためにも、給料アップのためにも、介護職ならぜひ目指したい国家資格です。そのスタートラインに立つためにも、実務者研修は必ず受講が必要です。
これまで医療行為とされてきた「たん吸引」や「経管栄養」。平成24年4月から法改正により、一定の研修を修了した介護職員は医療などとの連携により、一定の条件のもと※で「たんの吸引」や「経管栄養」を行うことができるようになりました。
(※登録が住んでいる事業所で業務を行うことが条件。また、研修で終了した内容のみ実施できる)。
実務者研修を受講修了していれば、喀痰吸引等研修(第二号研修)の基本研修が履修免除となります(実地研修は必要)。
重症化した高齢者が多くなる中、在宅で、また老人ホームなどでもたん吸引や経管栄養の実施ニーズが高くなっています。実務者研修の受講によってこれらを学んでおくと、就職や転職のときには非常に有利になります。
前述したように、訪問介護事業所では、サービス提供責任者として、実務者研修の修了者が大いに活躍しています。現場経験が豊富なだけではなく、幅広く、深い知識や技術を身につけた介護のプロとして信頼されます。
もちろん、デイサービスや老人ホームなどでも、リーダー格として勤務することを望まれます。現場での経験を3年経れば、国家資格である介護福祉士の受験資格を得ることができ、さらなるキャリアアップも期待されます。
認知症やたん吸引・経管栄養の知識もしっかりと得られるので、認知症グループホームや要介護度の高い利用者が多い介護施設では貴重な存在として受け入れられるでしょう。